アイキャッチ用 田中神父の今週の糧

大聖テレジア(1515-82)は、十字架の聖ヨハネと共に、カルメル会を改革したシスタ-として名前を残しています。永い間の冷淡と不信心になれたシスタ-たちや町の勢力者たちの反対の中、宗教裁判にもかけられ、投獄されたりしました。でも改革は徐々に実を結び、「祈りと断食」等を大切にし、一日2時間の黙想を厳格な共同生活を行っています。

その改革を成し遂げた大聖テレジアは「神様は台所の鍋の間にいる」との含蓄に富んだ言葉を残しています。これがもし、田中神父が言った言葉だとすれば「彼は食いしん坊だからネ!」で話はおわりです。でも「いのりと断食」を大切にし、厳格な修道生活をめざした大聖テレジアの言葉なので、重みが違います。

一言で言えば、神様は修道院の聖堂の中とか、沈黙の修室の中にいるだけでなく、ごく平凡な日常生活の中にもいらっしゃるということです。

私は、お説教の時でしたか、「私がイエス様だったら、33年間の人生のうち、30年間の私生活と3年間の公生活の比率(10対1)をかえるはずだ」と言ったことがあります。でもイエスさまはそうなさらなかったのです。人類の罪を贖い、教え導くために「30年の私生活」を大切にされたのです。ルカはイエス様が12歳の時、ご両親と神殿に詣で、3日間神殿に滞在されたエピソ-ドの後の18年間を次ぎの様にまとめます。「イエスは知恵も増し、背丈も伸び、ますます神と人とに愛された」と。私達に「日常生活を大切」にするように、イエス様は教えられたのです。ややもすると私達は「イエス様のご苦難・十字架上の死・復活・ご昇天」によって救われたと思ってしまいますが、私達は33年間のイエス様の受肉された全てによって救われたのです。イエスさまのナザレでの生活、小さいときは近所の子供達と砂場で遊び、マリアさまと一緒に買い物に行き、水汲みのため、井戸端会議にも参加し、ヨゼフ様の下ではかんなの扱いを学び、板をけずる生活の全てによって、救われたのです。「イエスさまの日常生活によって救われた」とも言えます。

主任司祭 田中次生

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