聖ヨセフの夢(フィリップ・ド・シャンパーニュ画)

今日の福音ではヨセフが登場します。クリスマスの時期になりますと、このヨセフは少しだけ脚光を浴びますが、聖書の中でいつの間にか姿を消しているように普段はあまり目立たない存在のように思えます。
しかし、ヨセフは主の降誕の際に大きな役割を果たした人物です。それはヨセフが神のお告げを単純に信じて実行した人で、マリア同様、彼の信仰によって、人類に救いがもたらされたと言えるでしょう。

ではヨセフの信仰とはどのようなものであったのでしょうか。ヨセフはいいなずけであるマリアが妊娠したことを知って、たいへんに悩み苦しんだと思います。そして「マリアのことを表ざたにすることを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した」とあります。これはマリアへの配慮を示した愛の姿勢であると同時に、“困難の中にあっても神へ信頼を失わない”ヨセフの姿勢でもあると思います。

またヨセフは、「沈黙の聖人」とも言われていますが、それはヨセフについての記述が少なく、彼の言葉がまったく記されていないからです。しかしこの沈黙こそ、困難に耐え、使命を全うし、信仰を守り抜いたヨセフの強さを象徴しているかのように思います。

今、世界ではコロナ感染症拡大や戦争の脅威があります。難しく困難な時代であると言えるでしょう。こういう状況のときこそ、私たちの信仰が試されるのではないでしょうか。

ですから、私たちはヨセフのように、どんな困難や試練に直面しても、それを乗り越えていける強さを持てるように、この待降節、幼子イエスに信仰の恵みを祈り求めましょう。

主任司祭 西本 裕二


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